現在注目のAI技術とは?人工生命、半導体、エンジニアそれぞれの視点から見た未来【AIフェスティバル 2024】

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現在注目のAI技術とは?人工生命、半導体、エンジニアそれぞれの視点から見た未来【AIフェスティバル 2024】

来年の展望は?

2024年11月8日から9日にかけて、株式会社サードウェーブが主催する「AIフェスティバル 2024 Powered by GALLERIA」が秋葉原で行われました。

初日には、アート、ビジネス、テクノロジーという3つのテーマに基づいたパネルディスカッションが開催されました。その中でテクノロジーをテーマにした「進化するAIテクノロジー」セッションでは、パネリストたちが各自のプロジェクトや注目する技術、さらには今後の展望について語り合いました。

パネリストには、人工生命の研究に特化した中村政義氏(人工生命ゲーム開発者/金沢美術工芸大学非常勤講師)、AI半導体を担当する林憲一氏(SambaNova Systems アジア太平洋地域マーケティングディレクター)、AI関連の著作に恵まれた布留川英一氏(プログラマー)、そしてブログやSNSでAIについて発信するからあげ氏(エンジニア)が名を連ねました。司会は、AIおよび戦略に関する専門家、清水亮氏が務めました。

注目すべきAI技術は?

「社会を築くAI」「小さな分野のエージェント」「動画で学ぶAI」「データフロー型AIチップ」
最初のテーマは「最近注目しているテクノロジー」です。

中村氏は、LLMを用いた人工生命の事例を紹介し、人工生命のキャラクターたちが自発的に誕生パーティを開いたことや、マインクラフト内で見られた、LLMにより自律的に社会が形成されたシミュレーションについて説明しました。彼は、こうした現象はボトムアップの市場形成ではなく、LLMが人間の知識を取り込んだ結果ではないかと推測しました。

林氏は、巨大的なAI技術の中で、より小さな分野に特化したエージェントAIの台頭に注目していると述べました。さらに、現在のAIが事務職等において、投資に見合った効果をどれほどもたらしているかについては「微妙なところ」と冷静にコメントしました。

布留川氏は、生成AIによって自動生成されるMinecraft風のオープンワールドゲーム「Oasis」を紹介しました。彼は、AIがかつてレトロゲームをクリアするのが難しかった理由を説明し、動画生成技術の進化によって現在はその能力の向上が期待できると語りました。「これは人間が夢の中で学習しているようなもの」との見方を示しました。

からあげ氏は、最近利用しているGoogleのNotebookLMについて言及し、PDFの要約機能や論文から音声番組を生成するGoogle Illuminateの存在など、潜在的な可能性を強調しました。さらに、AIが漫画や小説からアニメを生成する自動メディアミックスが実現される可能性にも触れました。

また、林氏は、サーバーCPUがx86系に収束している現状に対し、昔のUNIXサーバーの多様なCPU生成と同様に、現在も新しいAIチップがさまざまな会社から登場している点が興味深いと述べました。彼は自身の会社で開発された非ノイマン型データフローAIチップについても説明し、これはニューラルネットワークの自然なデータ処理に適していると主張しました。

将来の夢は……やはりパートナーロボット?

次に取り上げられたテーマは「将来作りたいもの」です。

からあげ氏は、パートナーのようなロボットを作りたいと述べ、布留川氏は、そのためのAIが自分の仕事をすべて代行してくれることを希望しました。これに対し、「人間の役割が無くなってしまうのでは?」という指摘に対し、林氏は自身のペットロボット「LAVOT(らぼっと)」の話を交えつつ、未来にはロボットが進化し、最終的にはそのメンテナンスが人間の役割になるかもしれないというジョークを交えました。

中村氏は、AIが自律的に動くキャラクターがプレイヤーに「あなたたちはシミュレーションの中にいる」と伝える「AI People」というゲームを紹介し、AIが現実世界に影響を与え始めた時の面白さを強調しました。

パネリストたちは、AI技術の進歩の速さを実際に体感している中で、特にプロジェクトが急速に変化する現実についても言及し、「シンギュラリティ」の概念が話題に上がりました。

2024年、AIがAIを創出する時代へ?

次のテーマは「来年への展望」です。来年もAIフェスティバルが開催されるとして、その時にはどのような状況になるのかを議論しました。

中村氏は、半導体業界でのムーアの法則のように、AIもまたAIによって進化する時代が来るだろうと予測しました。林氏は、今月(11月末)にChatGPTの2周年を迎え、新たな発表があるという噂があり、この機会にAIはさらに進化すると語りました。

布留川氏は、1年後にはAIがコンピュータやスマートフォンの操作を行い、ユーザーがiPhoneやAndroidに頼ることで仕事をより効率的に遂行できるようになると考えています。からあげ氏は、自身の著書で述べた「5年後にはAIが作った映画に感動しているかもしれない」という予想が来年に実現するかもしれないと語りました。

AI進化の中で「私たちはどう生きるか」

最後のテーマは、「私たちはどのように生きるべきか」です。

林氏は、技術の進歩が一気に進むわけではないものの、毎日1%の進歩が積み上がることで大きな変化をもたらすと説明しました。彼は、興味を持つ分野に注目し続けることが重要であるとコメントしました。

からあげ氏は、「結局、自分が好きなことをするのが一番」と強調し、AIが将棋や囲碁で人間よりも強力になっている現状でも、他者との対決を楽しむ価値があると述べました。

布留川氏は、AIの新技術が次々と登場する中で、ロボット製作に向けてパズルのピースが揃っていく感覚を明かしました。中村氏は、AIが将棋で人間を圧倒する時代においても、AI同士の対戦を見ようとする人は少ないため、人間同士のコミュニケーションの重要性が増すと語りました。

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