こちらは、アメリカの民間企業Axiom Space(アクシオム・スペース)が地球低軌道(LEO)において計画している商用宇宙ステーション「Axiom Station(アクシオム・ステーション)」の最新の想像図です。このステーションは、2030年に運用を終える国際宇宙ステーション(ISS)に代わって、微小重力環境での研究や実験の場を提供することを目的としています。
Axiom Spaceは2020年、NASAからISSに商用モジュールを追加する企業として選定されました。Axiom Stationの建設は、この商用モジュールを基に進められ、ISSの運用終了前に独立した宇宙ステーションとして機能を開始する計画です。
今回、Axiom SpaceとNASAはAxiom Stationの建設手順を見直し、従来の予定よりも約2年早い2028年からの独立した運航を可能にすることを発表しました。これは、NASAの要請に基づき、ISSから早期にAxiom Stationを離脱させることで、ISSの運用終了に向けた準備が円滑に進むという狙いがあります。
具体的には、初めに打ち上げられる予定だった居住モジュール「AxH1(HAB-1)」に代わり、ペイロード・電力・熱モジュール「AxPPTM(Payload Power Thermal Module)」が最初に打ち上げられ、ISSに接続されます。このAxPPTMは2028年にISSを離れ、独立した運行を開始し、その後、2番目のモジュールとしてAxH1が結合します。
以降は、エアロックモジュール(Airlock Module)、もう一つの居住モジュール「AxH2(HAB-2)」、そして研究製造施設モジュール「AxRMF(Research and Manufacturing Facility)」が次々とAxiom Stationに追加され、最終的には冒頭の想像図に示される構成が完成する予定です。
さらに、発電や熱管理機能が集約される予定だったAxPPTMは、製造の効率を高めるためにAxH1とAxH2の設計を活用することになりました。その影響か、過去に公開された想像図では塔状の構造で描かれていたAxPPTMは、最新の想像図では他のモジュールと類似した外観になり、太陽電池パドルやラジエーターがAxPPTM以外のモジュールにも分散配置されるように示されています。
NASAジョンソン宇宙センターのISSプログラムマネージャー、Dana Weigel氏は、「ISSは約25年間にわたり科学的プラットフォームとして機能してきました。その運用終了が迫る中、地球低軌道の将来を見据え、後継の拠点を支援することが極めて重要です。これによって、NASAは微小重力環境における存在を継続し続けることができます」と語っています。
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